美瑛の丘に立つケンとメリーの木!名CMが生んだ伝説と絶景の秘密
ケン と メリー の 木は、北の大地にポツリとそびえる1本のポプラでありながら、半世紀を超えて人々の心を動かし続ける不思議な力を秘めている。季節ごとに表情をガラリと変える美瑛の丘。どこまでも広がる空を背に立つその姿は、一瞬の静寂とともに訪れる者をノスタルジックな世界へ引き込む。
緩やかな傾斜が描く地平線と、整然と耕された畑が織りなすパッチワークの景観。その壮大なパノラマの中に佇むケン と メリー の 木は、北の大地を巡る旅人にとって「北海道らしさ」を象徴する最高のアイコンだ。風が駆け抜けるたびに枝葉がかすかな音を立て、遠くの大雪山系を望む背景と相まって、他に類を見ない存在感を放っている。
半世紀を超えて愛される歴史と「ケンメリ」爆発的ブームの原点

この一本のポプラが日本中で知られる存在となったのは、1972年のことだ。当時、社会現象とも言える大ムーブメントを巻き起こした4代目日産スカイラインCM「ケンメリ」のロケ地に起用されたことがすべての始まりだった。
広大な丘陵地帯を背に、スタイリッシュなクーペが走り抜ける映像は、当時の若者たちに強烈な憧れを植え付けた。日本の自動車産業が急速な発展を遂げ、自家用車で遠くへ出かけるドライブカルチャーが花開いた時代。若者たちはクルマに夢を乗せ、地図を広げて北海道を目指したのだ。
伝説のテレビCMが生んだストーリーとBUZZが歌う『愛のスカイライン』の撮影秘話

当時のテレビCMは、単なる商品の宣伝にとどまらない叙情的な世界観を持っていた。若き男女のケンとメリーが日本各地を旅するストーリーラインは、視聴者に「自由」と「旅への情熱」を強く印象づけた。
映像を一層引き立てたのが、フォークグループのBUZZが歌う楽曲『愛のスカイライン』だ。澄み渡るボーカルと美しい旋律は、美瑛の澄んだ空気感と見事にシンクロした。当時の撮影現場では、奇跡的な快晴と理想的な風の吹き抜けを待つため、スタッフが何日も丘の上で待機を続けたというエピソードが残っている。一瞬の光の差し込みを捉えた映像美が、半世紀を経た今も色あせない名作CMを生み出した。
【2026年最新】アクセス方法とマナーを守って楽しむ絶景ドライブコース

北海道美瑛町の象徴「ケンとメリーの木」。日産スカイラインCMのロケ地として知られる名木の歴史と、撮影秘話や2026年最新のアクセス・見どころを徹底解説。訪れる前に知っておくべき絶景スポットの魅力を詳しく紹介する。
旭川空港から車で約15分、JR美瑛駅からは車で5分ほどの位置にあり、周囲の丘を巡るドライブコースの起点として最適だ。2026年の現在、レンタカーやEVを活用したスマートな移動が主流となっており、早朝の空気が澄んだ時間帯は特におすすめの撮影タイミングとなっている。
ここで旅行者が絶対に注意すべきポイントがある。木の周辺に広がる美しい畑は、農家が手塩にかけて作物を育てている私有地だ。無断で畑に立ち入る行為は厳禁であり、美しい景観を守るために美瑛町役場もマナー遵守を強力に呼びかけている。指定された駐車スペースや展望エリアから鑑賞することが、この美しい風景を未来へ残すための必須ルールだ。
昭和レトロの再評価とYouTube世代が熱狂するロケ地巡りの今
近年、昭和レトロ文化の再評価が進む中で、このポプラの木は新たな世代の関心を集めている。YouTubeをはじめとする動画共有サービスには、往年の名CM映像や高画質で修復されたアーカイブ動画が数多く投稿され、Z世代や海外の旅行者の間でも話題を呼んでいる。
かつてリアルタイムでCMを見ていたシニア層だけでなく、SNSや動画でその存在を知った若者が聖地として訪れる「ロケ地巡り」のトレンドが定着した。時代を超えたポップカルチャーの遺産として、新しい形のファン層が着実に広がりを見せている。
自動車産業の遺産と観光業の共存が生み出す未来の美瑛風景
日産自動車株式会社が世に送り出した名車と、美瑛の豊かな自然が生み出した奇跡的なコラボレーション。それは日本の自動車産業における輝かしい1ページであると同時に、美瑛町の観光業にとってもかけがえのない財産となっている。
単なる観光名所として消費されるのではなく、農業という営みと観光が調和しながら風景を維持していく取り組みが現在も続けられている。歴史的背景を知った上で見上げる一本のポプラは、訪れる者の心に深く刻まれる特別な記憶となるはずだ。
四季が織りなす美瑛の表情と訪れる者を虜にする特別な時間
春には新緑が芽吹き、夏には深く鮮やかな緑が丘一面を覆い尽くす。秋には黄金色の絨毯が広がり、冬には一面の銀世界の中にポツンと立つ枯れ木のような静寂の美を見せる。季節や時間帯によって全く異なる表情を見せる点こそ、この場所が何度訪れても飽きない最大の理由だ。
夕暮れ時、茜色に染まる空を背景に浮かび上がるシルエットは、言葉を失うほどの美しさを誇る。美瑛の風を感じながら、昭和から現代へと受け継がれてきた物語に思いを馳せる時間は、贅沢な旅のハイライトになるだろう。 (出典: ケン と メリー の 木(Yahoo!ニュース))