【2026現地ルポ】香川・宇多津町に若者が殺到する理由。古街の美しさと臨海再開発が生んだ“四国最強のコンパクトシティ”
宇多津 町は、香川県内で最も面積が小さい自治体でありながら、いま四国で最も熱い視線を集める注目の街だ。2026年現在、都市部からの子育て世代やUターン・Iターン移住者の流入が止まらない。かつて塩田事業で栄えた歴史的な町家が立ち並ぶ「古街(こまち)」と、近未来的な高層タワーや商業施設が並ぶ臨海部。この対極的な2つのエリアが絶妙に融合し、独自の魅力を放っている。宇多津駅に降り立つと、潮風の香りと共に、活気あふれるカフェの喧騒が聞こえてきた。
地方都市の人口減少問題が深刻化する日本において、これほど鮮やかなV字回復と持続的な発展を見せる自治体はきわめて異例と言える。地元で長年事業を営む不動産関係者は「ただのベッドタウンではない。宇多津 町が誇る歴史的文脈と、徹底した子育て支援インフラが若年層を引き寄せている」と力説する。なぜこれほどまでに人を惹きつけるのか。現地での密着取材を通じて、この小さな町が起こした奇跡の変革に迫る。
1. 臨海エリアの進化:四国水族館とゴールドタワーが彩る新たな夜間経済
宇多津臨海公園周辺は、ここ数年で夜の表情を劇的に変えた。ランドマークである四国水族館とゴールドタワーを中心に、ナイトタイムエコノミーを意識したライティングプロジェクトや夜間限定の食イベントが定着。かつては日帰り観光が中心だったこのエリアに、滞在型の旅行者が定着し始めている。
週末の夜、沿岸のウッドデッキを歩くと、地元ファミリーと若い観光客が心地よく混ざり合う風景に出会う。水族館のナイト営業では、幻想的な照明の中で舞うイルカのシルエットが人々を魅了していた。単なる観光スポットの枠を超え、街全体の価値を高める拠点として機能している。
2. 100年の時を超える「古街」の再生:町家リノベーションと若手クリエイターの流入

臨海部のモダンな景色から徒歩わずか10分。足を踏み入れると、一変して静寂と格式が漂う旧城下町「古街(こまち)」が広がる。ここでは現在、空き家となった伝統的な塩田地主の町家をリノベーションする動きが最高潮を迎えている。
古い梁や土壁を生かしたマイクロホテル、クラフトビールの醸造所、ヴィンテージ家具店などが次々とオープン。新旧の住民が自然な形で混ざり合い、独自のコミュニティが芽生えている。歴史を壊さず継承しながら、新しい息吹を吹き込む。このバランス感覚こそが、宇多津の持つ最大の武器だ。
3. 全国が注目する子育て特区政策:香川県トップクラスの人口増加率

データが物語る真実がある。宇多津町は、香川県内の行政区域の中でもトップクラスの若年層人口増加率を維持し続けている。その背景には、行政が打ち出す徹底的な「子育てファースト」政策が存在する。
医療費助成の拡充はもちろん、待機児童ゼロの継続、保育・教育施設へのICT導入など、親のストレスを極限まで減らす環境が整っている。公園遊具の全面リニューアルや全天候型プレイスの建設など、現場の声に即座に応えるスピード感。行政と住民の距離が近い、小さな町だからこそ実現できた強みだ。
4. 四国随一のコンパクトシティ:車に依存しすぎない豊かな暮らし
地方暮らしといえば「1人1台のマイカー必須」が常識とされてきた。しかし宇多津町はその常識を心地よく覆す。駅を中心に徒歩圏内、あるいは自転車やシェアモビリティで主要な公共施設、スーパー、病院、学校へアクセスできる都市設計がなされている。
JR宇多津駅は高松や岡山へのアクセスも抜群で、特急を使えば都市部への通勤も現実的だ。「日常の買い物から週末のエンタメまで、半径2キロ以内で完結する」。そう語る移住者の笑顔が、この街の住みやすさを何よりも饒舌に物語っていた。
5. 食文化の地殻変動:伝統のうどんと最先端ローカルガストロノミー
香川といえば言わずと知れた「うどん県」。宇多津町にも長年愛される伝説的な名店が点在し、朝から出汁の香りが街に漂う。しかし現在の食シーンは、うどんだけに留まらない。
瀬戸内海の新鮮な魚介や地元の有機野菜を主役にしたイノベーティブ・フレンチや、隠れ家的なイタリアンが古街を中心に急増しているのだ。「生産者との距離の近さが料理のクオリティを跳ね上げる」と語るシェフたち。伝統的なソウルフードと洗練されたガストロノミーの共存が、食通たちの胃袋を掴んで離さない。
6. 2026年の働き方:リモートワーカーを惹きつける多様な空間
2026年、新しい働き方は完全に定着した。宇多津町は早くから高速光ファイバー網の敷設と公共Wi-Fiの整備を進め、デジタルノマドやリモートワーカーの受け入れ体制を構築してきた。
海を見渡すコワーキングスペースや、築100年の古民家を改装した静寂なシェアオフィス。気分に合わせて作業環境を選べる贅沢さがここにはある。都市部の満員電車から解放され、仕事の合間に瀬戸内の海を眺める。そんな豊かな日常を求めて、クリエイティブ層の移住ラッシュは今日も続いている。 (出典: 宇多津 町(Yahoo!ニュース))