20歳の集い定着の裏で何が起きているのか? 改正民法4年、迷走と進化の「18歳成人式」最前線【2026年ルポ】
18 歳 成人 式は、2022年4月の民法改正に伴う成年年齢引き下げから4年目を迎えた2026年現在も、各地で独自の進化と葛藤を続けている。当初懸念された大学受験や就職活動との時期重複、さらには家庭の経済的負担といった課題に対し、全国の大半の自治体が「20歳での式典継続」を選択した。しかしその一方で、あえて高校卒業直前の18歳で式典を敢行する自治体も存在し、地域ごとの温度差が極めて鮮明になっている。制度の変更が投じた波紋は、単なる自治体イベントの開催時期を巡る議論にとどまらず、現代の日本社会における「大人への脱皮」のあり方を問い直す契機となった。
現場で若者や保護者に向き合う関係者の声も切実だ。都内の着物呉服店で店長を務める男性は「高校3年生の1月という過酷なスケジュールに配慮しつつ、それでも18 歳 成人 式に向けた晴れ着レンタルや前撮り写真を希望するご家庭への柔軟な対応が求められている」と語る。法改正から4年、かつての画一的な「成人の日」の姿は消え去り、多様化する若者の進路や価値観に合わせた新たな祝福のスタイルが模索されている。現場のルポと当事者への取材から、2026年における成人式の「今」を追った。
1. 全国自治体の9割以上が「20歳維持」を選んだ冷徹な現実

民法改正の議論が盛り上がった当初、政府は18歳での式典開催を推奨する姿勢を見せていた。しかし、ふたを開けてみれば全国の9割を超える市区町村が従来通り「20歳」を対象とした式典(名称を「二十歳のつどい」などに変更)を選んだ。
理由は極めて明確だ。18歳の1月といえば、大学入学共通テストの直前であり、高校生の就職試験や面接も佳境を迎える時期。このタイミングで式典を実施すれば、出席率の著しい低下を招くことは明白だった。親の立場からも、受験料や学費の支払いが重なる時期に振袖の準備や着付け費用が重なる負担は到底受け入れがたい。結果として、自治体側が住民感情に寄り添う形で「20歳開催」がデファクトスタンダードとして定着した。
2. 18歳開催を選んだ自治体の意図:地域との「最後の接点」

一方で、少数派ながら18歳での式典開催にこだわる自治体もある。その多くは、過疎化や若者の域外流出に悩む地方の市町村だ。
高校を卒業すると同時に、進学や就職で地元を離れてしまう若者は多い。20歳になってから式典を開いても、すでに都市部に生活拠点を移した若者がわざわざ戻ってきてくれる保証はない。それならば、まだ全員が地元に揃っている高校3年時の春休みなどに「18歳の旅立ち」として式典を行い、郷土への愛着を心に刻んでもらいたい――そんな切実な過疎地ならではの狙いがある。参加した高校生からは「受験が終わった直後で解放感があり、同級生全員と最後に顔を合わせられてよかった」という肯定的な声も聞こえる。
3. 着物・呉服業界に起きた地殻変動:前撮りの分散と新しいニーズ

成人の日の風景といえば、色鮮やかな振袖を纏った若者たちの姿だ。法律上の成人が18歳になったことで、この業界にも劇的なビジネスモデルの転換が強いられた。
以前は「20歳の1月」という単一のピークに合わせて動いていたが、現在は「18歳の高校卒業記念撮影」と「20歳での式典出席」という2つのニーズが重なり合う構造になっている。高校3年の夏休み前後に早めの前撮りを済ませる家庭が増加したほか、大掛かりな式典には出席せず、写真撮影のみで祝う「フォト成人式」の需要が急増した。経済的な実利を取り、レンタル費用を抑えたシンプルなドレスやスーツでの参加を選択する若者も珍しくない。
4. Z世代の当事者感情:「18歳で法律上の大人」への戸惑いと本音
当事者である若者たちの心理はどうだろうか。2026年に18歳を迎えた世代に話を聞くと、権利の拡大に対する喜びよりも、責任の重さに対する戸惑いが先行しているのが実情だ。
18歳になれば親の同意なしでクレジットカードを作ったり、賃貸契約を結んだりすることが可能になる。しかし、飲酒や喫煙、公営ギャンブルなどは従来通り20歳まで禁止されたままだ。法律上の「成人」と、生活上の「解禁」に2年のズレが存在するため、「自分たちは本当に一人前の大人になったのか」という実感が湧きにくい構造になっている。「18歳で急に大人扱いされてもピンとこない。結局、お酒が飲める20歳になって初めて区切りを感じる」という意見は根強い。
5. 契約トラブル増加の影と、求められる実務的「金融教育」
18歳成人が定着したことによる暗い側面も無視できない。未成年者取消権が失われる18歳・19歳を狙った悪質な契約トラブルが、この4年間で定着・巧妙化している点だ。
美容サロンの高額ローン、暗号資産やSNSを利用した副業詐欺、お試し購入を装った定期購入トラブルなど、知識の乏しい若者をターゲットにした被害が絶えない。これを受けて全国の高校では、家庭科や社会科の授業を活用した実務的な「金融教育」や消費者教育の強化に追われている。単に祝うだけでなく、社会の荒波から自らの身を守る術を教え込むことが、式典以上に緊急の課題となっているのだ。
6. 2026年、変容する式典の未来:画一的儀式から個の尊重へ
「18歳成人式」を巡る騒動から4年が経ち、日本における成人のあり方は確実に多様化の道を歩んでいる。かつてのように全国一律で同じ日に集まり、同じ形式で祝う時代は終わりを告げた。
地域ごとの事情に応じた時期の設定、オンラインを活用した遠隔参加ハイブリッド型式典の導入、あるいは式典そのものを排して個人のライフスタイルに合わせたお祝いを行うご家庭の増加。形はいかに変わろうとも、周囲の大人たちが若者の新たな門出を温かく見守り、応援するという本質に変わりはない。18歳と20歳、ふたつの節目を抱えながら、日本の社会は新しい「大人の育て方」を模索し続けている。 (出典: 18 歳 成人 式(Yahoo!ニュース))